福祉の現場に、ハンバーガーチェーンのロゴが掲げられる時代。
異業種からの転職者と、福祉キャリアのプロが出会い、交わり、
新たな支援の形が、ここから生まれています。
私たち檸檬会は、「誰もが人生を楽しみ、躍動する機会が得られる社会=ソーシャルインクルージョンの実現」を目指し、さまざまなチャレンジに取り組んできました。そのひとつが、就労継続支援A型事業所としてバーガーキングをオープンした、新しい形の福祉事業です。
一見すると異色とも言えるこの取り組みの中で、飲食業界から飛び込んできたT.N.さん(1号店 店長)と、福祉畑を歩んできたO.K.さん(2号店 サービス管理責任者)は、それぞれ異なる現場で働きながらも、共に“ソーシャルインクルージョンの実現”に挑んでいます。
今回は、そのお二人のクロストークを通して、この新しい福祉の形の“今”と“これから”をお届けします。
異業種から福祉の世界へ飛び込んだ理由とは?
——まず、Tさんは飲食業界からこの福祉の世界に転職されたということですが、そのきっかけは何だったのでしょうか?
T.N.:はい。僕は20代からずっと飲食業界にいて、もう20年近くになります。自分でも店を持ったり、責任者を任されたりして、それなりにやり切った感覚はありました。そんな中で、周りに飲食と福祉を掛け合わせている友人や先輩が増えてきて、「自分にもできることがあるかもしれない」と感じるようになったんです。
——具体的には、どんな方が福祉に関わっていたのですか?
T.N.:例えば、美容室のオーナーがグループホームを運営していたり、深夜まで営業する居酒屋の社長が、日中は障がい福祉事業をやっていたり。そんな話を聞く機会が増えて、徐々に福祉への興味が強くなっていったんですね。
——その中でバーガーキングを行う就労支援事業所と出会った?
T.N.:まさに偶然です。ハローワークで求人を見ていたら「ハンバーガーチェーン×福祉」という、これまで見たことのない組み合わせに出会って。飲食経験を活かしつつ新しい世界である福祉にも挑戦できる。これは興味深い!と思って、すぐに応募しました。
——新しい挑戦に不安はなかったですか?
T.N.:もちろんありました。でも「やってみたい」という気持ちが勝ったんです。実際、身近にも障がいのある方がいて、福祉が決して遠い世界ではなかったことも大きかったですね。


福祉一筋のキャリアから見た“異業種の視点”
——Oさんは対照的に、福祉のキャリアをずっと歩んでこられたんですよね。
O.K.:はい。新卒で就労継続支援B型事業所に入り、支援員として6年、その後サービス管理責任者も経験しました。関東出身なのですが、ご縁があって大阪へ。前職の職場でやり切った感があり転職を決意し、そのときに出会ったのが、檸檬会の「ハンバーガーチェーン×福祉」の求人でした。
——バーガーキングのロゴ、インパクトありますよね(笑)。
O.K.:本当に(笑)。最初は「なぜ福祉事業でハンバーガー店を?」と驚きました。でも逆にそこに強く惹かれました。大手の飲食ブランドと福祉が掛け合わさることで、支援の形も変わるんじゃないかと期待が高まりました。
——飲食経験もあるんですよね?
O.K.:はい。学生時代に飲食店で長くアルバイトをしていたので、実は親しみはありました。だからこそ、福祉の現場に飲食を取り入れることが、利用者さんの経験の幅を広げることにつながると感じました。
——Tさんのような異業種からの入職者については、どう感じますか?
O.K.:私自身が福祉畑で育ってきたので、最初は“異色”に見えました。でも話してみると、むしろ新しい視点をたくさん持っていて、すごく刺激を受けています。自分にとっての当たり前を、問い直す貴重な存在ですね。


飲食と福祉、二つの世界を同時に動かす難しさと手応え
——実際に働いてみて、飲食と福祉を両立させることの難しさはありますか?
T.N.:めちゃくちゃあります(笑)。とにかく大変。それに尽きますね。飲食業は時間との勝負ですが、福祉には一人ひとりに寄り添う丁寧さが求められる。その両立は本当に難しいです。
O.K.:わかります。どちらかに注力しすぎると、もう片方が手薄になってしまう。そのバランスを保つのは大きな課題のひとつですね。
T.N.:福祉の側面で見ると、以前は「障がいのある方は社会から守られる存在」というイメージが強かったけど、直営店と同じ事を行う中で、今は「対等な関係で、共に働く仲間」という感覚がしっくりくるようになりました。
O.K.:一般就労を目指す利用者さんにとって、実社会と変わらない環境の中で仕事をすることは、大きな自信につながると感じます。
——お互いの視点が交わることで、新しい支援の形が見えてきますね。
O.K.:福祉の経験があるからこそ気づけることもありますし、異業種の視点があるからこそ突破できる壁もある。そこに気づけたことは、この事業所で働く中での一番の収穫かもしれません。


「やってみたい」が実現できる場所
——これから先、お二人がやっていきたいことは何ですか?
T.N.:僕は、利用者さんが就労移行支援事業所を卒業した後の「受け皿」を、檸檬会の中に作っていけたらいいなと思ってます。事業所の先にある“リアルな社会”との接続って、すごく大事なので。
O.K.:私は、このハンバーガーチェーン型の就労支援を全国的なモデルにしていきたいですね。飲食業のルールやマニュアルがきちんとしているからこそ、利用者さんが「一般企業と同じ仕事ができた」という確かな手応えを感じられる。それって非常に意義深いことだと思うんです。
T.N.:そう思える背景に「こういうことがやりたい」と言える雰囲気はありがたいですよね。実際、法人内で新しい事業所を提案できるような土壌があるので、挑戦したいことがどんどん増えていきます。
O.K.:それは私も感じます。現場の声を拾ってくれる体制があるというのは、働いていて本当に心強いですね。
最後に——「違うからこそ価値がある」職場づくりを
——異業種と福祉業界、それぞれの道を歩んできたお二人が、今同じ場所で働いていること自体が、まさに“新しい価値”を生み出していますよね。
O.K.:本当にそう思います。自分が当たり前だと思っていた価値観を、外からの視点で見直せる。それがこの職場の一番ユニークなところかもしれません。
T.N.:違う業界から来たからこそ、見える景色もある。それを持ち寄って、さらに魅力的な場所にしていきたいですね。今いる利用者さんも、これから関わる職員も、いろんな背景を持つ人がいる方が、絶対に多様で活気ある職場になると思うんです。
——最後に、この職場に興味を持っている方へメッセージをお願いします。
T.N.:「福祉の経験がないから」と心配しなくていいと思います。大切なのは、“人と向き合いたい”という気持ち。そこがあれば、きっとやりがいを感じられる仕事です。
O.K.:私は逆に、福祉を続けてきた人にこそ来てほしいなと思います。自分の経験が活かせるだけじゃなく、異業種の方と働くことで、また新しい視点に触れられる職場です。
——ありがとうございました!

ー就労継続支援A型事業所としてバーガーキングをオープンした背景ー
障がいのある方の就労には、仕事内容や環境面だけでなく、賃金の低さという大きな課題があります。私たちは社会福祉法人として、そうした課題を少しでも前向きに解決したいという思いから、このプロジェクトをスタートしました。就労継続支援A型とは、利用者の方が企業と雇用契約を結び、最低賃金以上の収入を得ながら働ける仕組みです。
さらに私たちは、株式会社ビーケージャパンホールディングスとフランチャイズ契約を結び、以下のような強みを活かしています。
◇ブランド力のある環境で、安定した長期雇用が実現できること
◇オペレーションが整っており、障がいのある方も安心して業務に取り組めること
◇健常者と変わらない水準の給与を継続的に支払えること
これにより、障がいのある方の経済的・精神的な自立を支援することが可能となりました。
一緒に、新しい福祉のカタチをつくっていきませんか?
そして今、その想いを共にする新しい仲間を求めています。
まずは、ぜひ一度、現場に足を運んでみてください。
檸檬会の想いや挑戦、そして現場でいきいきと働く人たちの姿を、
あなたの目で見て、肌で感じていただけたら嬉しく思います。
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